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【映画】ウォルト・ディズニーの約束【感動】メリーポピンズ見た後ならネタバレ必死

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僕はね、純粋に自分の知的好奇心に従ってみただけなんです。間違ってもトム・ハンクス主演の映画だしミッキーもきっと出てきて楽しいだろう、なんて浅はかな期待を持ってたわけじゃないんです。いや、少しはあった。ああ、あったさ、だってディズニーじゃん!みんなの夢と希望の王国、その生みの親をスクリーンで写すんだから楽しいに決まってる、若干の期待はあっさり打ち砕かれましたぞ。

僕は映画見るときにはだいたい登場キャラの誰かに自己投影して見るんですが、今回はコリン・ファレル演じるお父さんを自分に重ねて見ていました。

ここからネタバレです・・・ただ、今回はちょっと重たい内容だったのでそのままつらつら書くのも忍びないのですよ。ちょっと見るには予備知識と覚悟が必要でした。あなたはメリーポピンズを見たことがありますか?僕は子供に付き合って週に3~4日、1日3回くらい見せられたことがあるので嫌というほど各シーンが頭に残っているんです。だから今回、ウォルト・ディズニーの約束がガッツリとメリーポピンズに絡んでくるなんて思いもしませんでした。

よくある内幕の騒動をえがいたサクセスストーリーだと思うな!

隠れミッキーなんて探すだけ時間の無駄です、なんならディズニーランドそのものが出てくるので山ほどミッキーが見れますwww

この映画はヒューマンドラマです。しかもかなりショッキングな部類、シビル・ウォーぐらいのインパクトがあります。さっきも言いましたけどね、メリーポピンズを見てからのほうが意味がよく分かっていいです。死ぬほど見ている僕が言うんだから間違いない!

舞台はそう、1961年のイギリスとアメリカ。主役はもちろんこの人、ウォルト・ディズニー・・・ではなく、メリーポピンズの作者のP.L.トラヴァーズ婦人(未婚)です。初見でこの人、すげー気難しいわよくもまあこんな偏屈で頑固なキャラ設定にしたもんだなと笑いました。彼女の背景については、物語が進む中で明らかになっていきます。さてこの女性、つまり原作者であるトラヴァース婦人はイギリスの女流作家です、ただし作家だから裕福というわけではなく、今の生活に固執しながらギリギリで暮らしている印象(家具は豪華)でした。実は20年間もの間、ウォルト・ディズニーからのライセンス交渉を断り続けていたのだったが活動資金も底を突きかけてついに交渉を受けるため、半分だまされてディズニー本社へと向かうのだった。

たまに違うシーンが入ります、それも頻繁に小さな女の子の思い出か何かのシーンが出てきます。勘のいい人はここで気が付くと思いますが、トラヴァース婦人の幼少期の回想です。このシーンは現在(1961年)の婦人が捕らわれている過去であり、メリーポピンズの背景でもあります。そして本作でウォルトは、彼女との対比で描かれています。ウォルトとトラヴァース婦人、そしてメリーポピンズと婦人の過去が明暗のコントラストを成すことで物語が非常に奥行きのある完成度の高いドラマとして仕上がっています。ええ、泣きました。泣きましたとも。年をとると涙腺がもろくなっていけねーや。

本編の内容はこうです。担当編集者たっての願いを聞き入れた原作者トラヴァース婦人はとっても頑固で融通の利かない偏屈者、一見すると徹底したこだわりを持った女性。はるばるイギリスからアメリカはロサンゼルスへと足を運ぶ。メリーポピンズの映画化を望むウォルトの元へやってきて制作陣との打ち合わせに参加するも、ことあるごとにダメ出しをしては難色を示して映画化を許可しない婦人に手を焼くウォルト。彼は最後まで気づかないままだったが、彼が映画化を望んだ作品はトラヴァース婦人の半生を元に彼女が書き上げたものだった。ちびまる子ちゃんがよく似ていると思います。作者のさくらもも子は、その不遇な生い立ちを逆に明るい家庭として描いて、漫画からアニメ化にまで成功しました。婦人もこのタイプです。

回想シーンをまとめると、銀行員だった父親が大好きだった婦人は楽しい日々を過ごしていました。仕事に失敗して片田舎に移住した家族。うまく仕事場になじめないでいる父。彼女の空想する習慣を誉め、それを辞めないよう婦人に伝えました。徐々に酒に溺れていく父。最後はお父さんが病気で死にました、イギリスから叔母が薬を持ってきてくれたものの吐血して今生の別れとなりました。そんな父をたびたび思いだしては物思いにふけるトラヴァース婦人のシーンがたびたび出てきます。彼女が楽しんでいる時、ウォルトは呆れたり苛立ったりします。その逆もしかり。常に対比として描かれています。約束を守って映画化を認めない婦人と、約束を破ってでもいい映画にしたいウォルトとの駆け引きも皮肉が利いていて面白いです。メリーポピンズのセリフはここからきているのかと分かるシーンがいくつもあって面白かったです。残された自分の家族を思って泣いてしまいました。

人生にはどうにもならない自分では変えられないことがある、それこそいっそ魔法が使えればいいのに。そんな作者の思いが込められているのがメリーポピンズだったんだなと、しみじみしました。